乳酸と疲労の関係は?


乳酸は、糖分が身体の中で分解されて生成します。最も顕著に表れるのが、短距離競走などでの無酸素運動時です。血液中に蓄積し、pHが酸性になって痛みを覚えることで、乳酸の存在を自覚します。

以前は、乳酸が生成される過程あるいは乳酸自身が放出する水素イオンによって筋肉内のpHが酸性になり、疲労の蓄積の理由の一つといわれていました。しかしこれは誤りで、むしろ疲労回復物質と考えた方がいいと思います。体内に蓄積された乳酸は肝臓でグルコースの再合成に利用され、血液循環によって各組織へ運ばれます。すなわち、短距離走を行った後での休息期間に体内で起こる現象です。

この過程を乳酸回路と呼びます。無酸素運動時、この乳酸が減少してグルコースに変換される過程のスピードを乳酸の蓄積が上回る限界点があります。血中の乳酸濃度が急速に増加を始める時点を乳酸蓄積閾値と言います。有酸素運動のトレーニングでは、この閾値を酸素供給の指標として利用し、運動強度の設定に利用することがあります。

(幹 渉)

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