エゾウコギとの違いは?


ヒメウコギは朝鮮人参、ウド、タラの木などと同じウコギ科に属する植物で、本草書である本草和名(918年)に初めて登場した中国原産の落葉低木です。当時は朝廷しか食することができない貴重な植物であり、その根皮は滋養強壮などの効果を示す漢方薬として利用されていました。農書に登場したのは、1629年の日本最古の農書であり、生垣としてまた救荒食品として価値があると記載されています。

このように薬効が期待される植物でしたので、私どもは15年も前からウコギ葉に着目して、そこに含まれる成分の探索を進めてきました。その結果、クロロゲン酸とルチンを主成分とする6種類のポリフェノールが多量(乾燥葉中1-4%含有)に含まれていることが判明しました。また、活性酸素の一種であるスーパーオキシドを大変よく消去することも見出しました。さらに、ウコギ葉には食物繊維もゴボウに匹敵するほど多く含まれており、これらのことから血糖値の上昇抑制が期待され、共同研究者である山形県立米沢女子短大健康栄養学科の山田則子教授の動物実験、ボランティアによるヒト対象実験でこの効果を検証しています。

葉をターゲットした場合、エゾウコギよりもヒメウコギのほうが葉の密集度が大きく、原料確保においては優れた植物であるといえます。また、ヒメウコギは晩秋に枝を地面付近から刈り取っておいても、翌年の夏ごろには1メートルから2メートルの背丈まで伸ばす栽培技術を確立しており、今後の需要にあわせた生産も可能になっています。

(尾形健明/山形大学教授)



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