運動は身体にいいの?悪いの?


はじめに

ヒトは安静時では取り込んだ酸素の約2%(4~5ml程度)が体内で活性酸素に変わりますが、極めて寿命が短いため、大部分はそのまま酸素や水に変換され、一部はビタミンCやE、SODによって消去されます。残ったごく一部が生体膜に障害を与え、主として脂質の過酸化という形で現れます。これが緩やかな老化につながり、『バランス』が取れているわけです。

運動時の活性酸素変換率

激しい運動時には、体内での活性酸素変換率は6~8%程度に上昇します。つまり、体内での活性酸素の濃度が一時的に3~4倍に高くなり、バランスが崩れます。その結果、生体膜障害を起こしやすい状況になるわけです。
東大の加藤先生が、「スポーツは身体に悪い」を書かれた根拠の一つは、ここにあります。

運動のメリット

しかし一方、トレーニング効果もあり、ヒトは活性酸素など、身体に負担のかかる種々の「悪」に対する耐性を獲得します。例えば、長距離選手の心肺機能が高まり、脈拍数が低下することなどです。つまり、ヒトは『バランス』を保つ方向に生体防御を行っているわけです。

デメリット

それでも、さらに強くなるため、自分自身に負荷をかけるわけですから、運動時に過剰に発生する活性酸素により「障害」が起こりやすくなるのも事実です。目に見えるのは、「肌の劣化」。これは陸上選手の場合は紫外線による活性酸素発生とダブルで攻撃されるからです。目には見えないが体感があるのが、「肝機能低下」。二日酔い状態で運動ができないのと同じような症状ですね。

活性酸素に対するアスタキサンチンの効果

ところで、アスタキサンチンは活性酸素(特に一重項酸素)を効果的に消去します。これは、2~3週間程度の摂取で、陸上競技では「疲労を蓄積しにくくする」という形で現れます。
疲労がたまりにくくなりますから、「持久力向上」にも繋がります。東京海洋大学の矢澤先生の動物試験の結果ではアスタキサンチンを摂取したマウスは3~4倍の距離を走ったと報告されています。

摂取したアスタキサンチンは、体内で肌や肝臓などに形を変えないで輸送・蓄積されるので、過剰に発生した活性酸素を少しでも消去することにより、障害に対するリスクを下げようというものです。

TPOに合わせて摂取量を調節しよう!

「呼吸をする」トレーニングに関しては、短距離も中長距離も同じです。長くなるほど他の要因が多いため、見えにくくなっているだけです。最も効果が見えやすいのは400m~800mだと私は思っています。もちろんショートスプリントからマラソンまで、効果が期待できます。

なお摂取量ですが、一般的にはアスタキサンチン6mg/日を推奨していますが、強化練習時や疲れが溜まっている際には9~12mg/日程度に増量することをお勧めします(安全性に関しては30mg/日で確認・厚生労働省に提出済みです)。
これらの量を、朝晩の食事のときに2回に分けて摂取するのが効果的です。

(幹 渉)

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