グリコーゲンは、多数のブドウ糖分子が結合して生成されます。動物における貯蔵多糖として知られ、動物デンプンとも呼ばれます。これらは主として肝臓と筋肉でつくられます。
グリコーゲンは運動する際のエネルギーとして極めて重要で、言わば自動車のガソリンにあたります。
ヒトは必要に応じてグリコーゲンを分解し、糖質を取り出すことができるので、グリコーゲンを肝臓や筋肉に蓄えておくことで、運動をする時のエネルギー源として活用できるという訳です。
このうち肝グリコーゲンは血糖値をキープするために重要な物質で、これが空になると運動が不可能になります。一方、筋グリコーゲンは血糖値のキープには使用されないため、肝グリコーゲンの枯渇は大問題です。駅伝での『ブレーキ』の原因は、これに起因することが多いようです。肝グリコーゲンは、安静時でも約8時間で枯渇します。したがって、朝食抜きはエネルギー欠乏の大きな原因になりますね。激しい運動時には1~2時間で枯渇しますので、例えばマラソンなどでは途中での給水時に糖分を取ることが必要になるわけです。
これに対して、筋グリコーゲンは短距離種目などの無酸素運動に極めて重要です。無酸素運動では、グリコーゲンだけでATPを生産するエネルギー供給システムが働くわけです。このパワーは極めて大きいのですが、約40秒間しか持続することができません。筋グリコーゲンは体内で乳酸に分解されます。乳酸が血液中にたまるとpHが下がり、筋肉痛を伴います。運動をやめると溜まった乳酸は酸素によって燃焼され、二酸化炭素と水に分解されます。したがって、休養後は再び無酸素運動を行うことが可能になります。
(幹 渉)
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